キル×ユア×アイドル

地下アイドル界隈でにわかに話題を集めていた、ジャックとラプラスのアイドルユニット「ハサミ・デ・キレるモン」。
見た目はちょっと奇抜な可愛い少女だが、そのライブは「最高にハイになれる」「ハッピーな気持ちがあふれ出て止まらない」などと怪しい噂を集め、中毒的になるファンが急増していた。
その２人が突如、異形のギタリスト、ディヴィジョンを新メンバーに加え、モンソニシーンに切り込んできたのである。その名も「キル×ユア×アイドル」。

ハイテンションなライブパフォーマンスで魅せる２人の背後で、巨大な偶像のようなディヴィジョンがギターを巧みに操る様は、この世のものとは思えないほどセンセーショナル。その音楽に触れたならば、日頃の雑事や心配事は（ジャックの言葉を借りるなら）スパッと切り取られ、心が解放されること間違い無しだ。

「この世のネガティブを音楽の力で根こそぎ切り取り、世界をハッピーにするのが目標」とジャックは喜々として語るが、一方でディヴィジョンはあまねく全てを切断しようとする危険思想の持ち主に見える。この二者をハサミの両刃に例えるならば、その絶妙な嚙み合わせを支えているのは、一見能天気に見えて、全てを知っているかのように笑うラプラスのなのかもしれない。

彼女たちへの興味は尽きないが、そのミステリアスできわどい魅力こそ、「キル×ユア×アイドル」らしさと言えよう。